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【ADHDの薬剤師へ】ミスが多い、向いてないのかな… 自分の特性とどう向き合うかを解説

2025年9月24日

薬剤師の仕事には高い集中力と正確性が求められます。

ADHDの不注意、多動・衝動性の特性があると「自分は薬剤師に向いていない」と感じる場面が多くあるかもしれません。

この記事ではADHDの薬剤師が、仕事で起きる問題の原因について解説します。
また、その対策や特性を強みに変える方法をご紹介します。

「辛い」と感じる3つの理由

まず、なぜADHDの特性があると薬剤師の仕事で困難を感じやすいのか、その原因を見ていきましょう。

不注意」の特性による失敗への不安

薬剤師の業務は調剤や監査、書類管理、薬歴管理など多岐にわたります。

しかし、ADHDの「不注意」の特性は、これらの業務で大きな壁となることがあります。

例えば

  • ケアレスミスが多い: 薬の名前・規格・剤形の取り違えなどのミスが起きやすい。
  • 集中力が続かない: 散剤や一包化の監査などの単調な作業が続くと注意が散漫になり、ミスにつながる。
  • 忘れ物・紛失が多い: 重要書類の内容不備や紛失で麻薬や覚せい剤原料などの管理に困難さを感じる。
  • 薬歴管理の抜け漏れ: 患者さんのアレルギー情報や副作用歴、加算の記入事項などの記載を忘れてしまう。

一つのミスが患者さんの命に直結する可能性があるため、ミスをしないためには常に神経を張り詰める必要があり精神的に疲弊してしまいます。

多動・衝動性」が引き起こすコミュニケーションの課題

次に「多動性」や「衝動性」の特性が、服薬指導や人間関係などに影響を及ぼすことがあります。

例えば

  • 支離滅裂なことを言ってしまう:考えがまとまる前に発言してしまい話がまとまらない。
  • 相手の話を遮ってしまう: 患者さんや上司・同僚の話が終わる前に、思ったことを発言してしまう。
  • じっとしているのが苦手: 長時間の薬歴記入や報告書作成、監査業務を苦痛に感じ、集中力が途切れる。
  • 衝動的な行動: 優先すべき業務を後回しにして目についた作業に手をつけてしまう。

これらの行動は「協調性がない」「落ち着きがない」と思われ、人間関係の悪化につながることも少なくありません。

「仕事ができない」自己否定してしまう

ミスが続いたり、周りから注意されると「自分はなんてダメなんだ」「なさけない」と自己肯定感がどんどん下がっていきます。

この自己肯定感の低下こそが、最も深刻な問題です。

失敗や怒られた経験が不安や緊張につながり、それが新たなミスの原因になってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

明日からできる具体的な対策

ADHDの特性による仕事の困難さは、決して克服できないものではありません。

工夫をすることで仕事のパフォーマンスを格段に上げることができます。

「セルフマネジメント」「職場の配慮」「専門サポート」の3つの視点から解決策を解決します。

セルフマネジメント」ミスを徹底的に防ぐ

まずは、自分自身でできる工夫から始めましょう。

ポイントは「意志」に頼らず「仕組み」でカバーすることです。

タスクを「見える化」して抜け漏れをなくす

ToDoリストの活用

手帳や付箋、スマートフォンのメモなどを使い、やることをリストアップして優先順位をつけましょう。
完了したらチェックや横線を入れることで自分がどの仕事を終わらしたのか一目で分かり、頭の整理がしやすくなります。

タスクの細分化

例えば、「データを基に医薬品情報をまとめる」といった仕事を行う際は「文献を探す(20分)」「文献を読む(60分)」「資料作成(60分)」のように細分化します。
ポイントは最初に想定した時間よりも+10分くらいで想定して心の余裕をもたせることです。

「ポモドーロ・テクニック」で集中力を維持する

ポマドーロ・テクニックとは「○分仕事+△分休憩」を1セットとして繰り返す方法です。強制的に休憩を挟むことで集中力の持続につながります。

例えば、「5分作業したら30秒休む(水分補給やトイレ)」でもかまいません。

長時間じっとするのが苦手なら、無理に続けようとせず、時間を区切るのが効果的です。

薬歴や報告書等を作成するときに効果的な方法です。

物の場所を決めて探し物を減らす

どこに何を置いたか分からなくなってしまう場合は物を置く場所を固定してしまいましょう。

ハサミ、ペン、印鑑など、よく使うもの一つひとつに「住所」を作ります。

小物であれば、白衣のポケットに入れるとよいでしょう。

筆者の場合、ペン類やハサミ、計算機は胸ポケットに、印鑑は左ポケット、メモ帳は右ポケットと場所を決めています。

テプラなどで名前のシールを作るのもおすすめです。
目で見て何がどこにあるか分かるので探す手間を大幅に減らせます。

「指さし確認」で衝動的な行動を抑える

ピッキングする時や数を数えるときに指さし確認をする癖をつけましょう。

指さし確認はうっかりミスを大幅に減らすというデータがあるくらい効果的な方法です。

声を出す必要はなく、指をさすだけで大丈夫です。それだけで対象物に意識が集中してミスを減らすことができます。

職場の理解を得

個人の努力だけではどうしても限界があります。

自分の特性を理解してもらい、上司・同僚に適切な配慮を求めましょう。

指示は「具体的」に「文字」でしてもらう

口頭での指示は、聞き漏らしたり忘れたりしがちです。

対処法

  • 上司や同僚に、指示は言葉だけでなく文字にして欲しい、とお願いしてみましょう。(例えば、メモやメール、ライン等)
    指示内容を可視化できるようにすることでミスや忘れを減らせます。
  • 「なるべく早く」のような曖昧な指示をもらったら、「何日の何時まで」と具体的な期限を確認する癖をつけましょう。締め切りを明確にすることで仕事の優先順位をつけやすくなります。

協力者を見つける

自分の特性を理解し、サポートしてくれる人を見つけると仕事が格段にやりやすくなります。

作成した提出書類の誤字脱字のチェックや、やりっぱなしで放置してしまった作業を教えてくれる人が職場に1人でもいると仕事のミスを減らすことができます。

また、自分の悩みを相談し客観的なアドバイスをもらうことで、自分では気づけなかった問題点を知ることができ、それに対する対処法も一緒に考えてくれるでしょう。

専門家のサポートを受ける

一人で抱え込まず、専門的なサポートを受けることも大切な選択肢です。

専門医による「薬物療法」を検討する

ADHDの特性は、脳の機能的な特性によるものです。

精神科や診療内科で治療をうけることで不注意や衝動性をコントロールしやすくなる場合があります。

自分自身が治療経験を持つことで、本当の意味で患者さんの気持ちに寄り添った、説得力のある服薬指導ができるという強みに繋がります。

病気のことを一番理解できるのはその当事者です。
自分自身が経験していることは何よりの強みです。

専門機関に相談する

障害者手帳の有無にかかわらず、ADHDの特性を持つ人の就労をサポートしてくれる専門機関があります。

自分の特性に合った仕事の探し方や職場でのコミュニケーションの方法などのアドバイスをもらえます。

どんなところがあるの?

  • 自立支援センター
    • 仕事や生活の総合相談場所
  • 市町村の障害福祉課
    • 支援サービスの紹介をしてくれる
  • 障害者就業・生活支援センター
    • 仕事と生活の両面の支援をしてくれる
  • 発達障害者支援センター
    • 「仕事が辛く、解決策が分からない」という人向けの支援をしてくれる
  • 障害者職業センター
    • 「自分の適切な就労環境が分からない」という人向けの支援をしてくれる
  • 就労支援事業所
    • 「今の職場を続けたいが職場環境の調整をしたい」と考えている人向けの支援をしてくれる
  • 社内の産業医や相談窓口
    • 「仕事の調整・配慮」「業務量・時間の調整」を相談できる
  • ジョブコーチ(職場適応援助者)
    • 自分なりの仕事のやり方や工夫の仕方を一緒に考えてくれるパートナー
    • ハローワークや障害者支援センター経由で利用可能

オンライン・電話での相談

  • 発達障害者支援センター(地域によりオンライン対応可能)
  • 都道府県の発達障害支援相談窓口
  • こころの健康相談窓口(自治体の精神保健福祉センター)

自分の特性を活かす

ここまでADHDの大変な側面をお伝えしてきましたが、その特性は見方を変えれば大きな「強み」にもなり得ます。

例えば

  • 「過集中」を専門性へ: 特定の分野への強い関心や没頭する力は、DI業務や学術といった分野で大きな武器になり得ます。
    特定の疾患領域の専門薬剤師として、知識を追求する上でも強みになります。
  • 経験を活かした服薬指導: 自身の治療経験や困難を乗り越えた経験は、患者さんの悩みに深く寄り添い、信頼関係を築く上で何よりの強みとなります。

当事者のあなたの言葉だからこそ、患者さんの心に響くのです。

特性を無理に直そうとするのではなく「活かす」という視点を持つことであなたの強みを発揮できます。

「環境を変える」という選択肢をもつ

自分なりのできる努力をしても今の職場で働きづらさを感じるのであれば、それはあなたが悪いのではなく、働く環境が合っていないだけかもしれません。

自分に合った環境に移ることで、驚くほど仕事がスムーズに進み、自信を取り戻せるケースは非常に多いのです。

ADHDの特性に合う「働きやすい職場」

では、どのような職場が「働きやすい」のでしょうか?

以下のポイントをチェックしてみてください。

チェックポイント

  • 業務のシステム化が進んでいるか: 調剤ロボット、監査システムなどが導入されており、ヒューマンエラーを仕組みでカバーしている。
  • チーム体制が確立されているか: 薬剤師一人当たりの仕事量に余裕があり、お互いにサポートし合える環境がある。
  • 業務が分担されているか: 調剤担当や投薬担当などの役割分担がなされており、自分のやるべき業務に集中できる。
  • 研修制度や相談窓口が充実しているか: 定期的な面談や相談しやすい体制が整っている。

働きやすい職場」の探し方

とはいえ、自分にとって働きやすい職場を見つけるのは難しいですよね。

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参考記事

【まとめ】あなたに合った場所で輝こう!

ADHDの特性を持つ人が薬剤師として働く上での大変さは、決して能力が低いからではありません。

特性と業務内容のミスマッチが原因であることがほとんどです。

仕組み化で工夫し、周囲の理解を得て、時には専門家の力を借りる。そして、どうしても合わない環境なら、勇気を出して自分に合った場所へ移る。

その選択肢を持つだけで、心はぐっと軽くなるはずです。

この記事が、あなたが自分らしく、薬剤師の仕事を続けていくための、はじめの一歩となれば幸いです。

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