皆さんは「鼻うがい」をご存じですか?
鼻うがいと聞くと、「痛そう」「溺れるみたいで怖い」と思っている方がいると思います。
実は、正しいやり方で行えば、痛みは全くありません。
それどころか、花粉症や風邪、副鼻腔炎(ちくのう症)の辛い症状を和らげる、最強のセルフケアになるのです。
しかし、間違ったやり方は、健康に関わる危険なリスクもあります。
この記事では、医学的な根拠に基づき、以下の内容を解説します。
読み終わる頃には、あなたも「鼻うがいマスター」として、毎日のスッキリ習慣を手に入れられるはずです!
「鼻うがい」は
どんな効果があるの?

昔から「手洗い・うがい」と言われますが、最近ではこれに「鼻うがい」を加えることが、新しい常識になりつつあります。
鼻の中にあるベルトコンベアについて
私たちの鼻の中には、細かい毛(繊毛)がびっしり生えていて、常に動いています。
これを「粘液繊毛輸送系」と呼びます。
これが健康な状態です。
鼻炎や風邪のときは
「悪循環」が起きている
しかし、アレルギーや風邪で炎症が起きると、この機能が壊れてしまいます。
鼻うがいは、この「汚れたネバネバ」や「花粉」を水流で洗い流すことで、この悪循環を断ち切ります。
さらに、乾燥した鼻に潤いを与え、繊毛の動きを復活させる効果もあります。
鼻うがいが「痛い理由」と「痛くない方法」

「プールで鼻に水が入った時のあの痛み(ツーンとする感覚)」が怖いですよね。あれには明確な理由があります。
痛みの原因は
「浸透圧(濃度)」の違い
人間の体液(血液や細胞の中の水)には、約0.9%(ほぼ1%)の塩分が含まれています。
- 水道水・真水(塩分なし):体液と濃度が違うため、鼻の細胞に水が急激に入り込み、細胞が膨らんで神経を刺激します。これが痛みの正体です。
- 生理食塩水(塩分0.9%):体液と同じ濃度です。これなら細胞への刺激がゼロなので、全く痛くありません。
温度も大切!「人肌」がベスト
冷たい水は鼻の奥を刺激し、痛みの原因になります。また、40℃以上の熱いお湯は火傷の危険があります。
36℃〜38℃(人肌程度)が、一番刺激が少なく、鼻の汚れも落ちやすい温度です。
初心者でも簡単!
痛くない洗浄液のレシピ
専用の洗浄剤を買わなくても、家にあるもので作れます。
水を200mlで鼻うがいする場合のレシピを紹介します。
| 材料 | 分量 | ポイント |
| お湯(湯冷まし) | 200ml | 36〜38℃の人肌に調整 |
| 食塩 | 約2g | 小さじ(1杯5g)の約1/3 |
| 重曹(なくてもOK) | 微量 | 入れると汚れが落ちやすくなります。 なくても大丈夫です。 |
生理食塩水の濃度は0.9%ですが、1%として考えてかまいません。
水(mL)に1/100の量の食塩(g)を入れればOKです!
水道水をそのまま
使うのは危険

ここが一番重要なポイントです。
「日本の水道水はキレイだから大丈夫」と思っていませんか?
鼻うがいに関しては、水道水をそのまま使うのは危険です。
脳に侵入する「アメーバ」のリスク
胃に入った菌は胃酸で死滅しますが、鼻の奥は「脳」と直結しています。
海外では、水道水に含まれる「ネグレリア・フォーレリ(通称:脳食いアメーバ)」が鼻から脳へ侵入し、死に至ったケース(原発性アメーバ性髄膜脳炎)が報告されています。
日本での報告例はまれですが、注意するに越したことはありません。
また、コンタクトレンズ使用者の角膜炎で知られるアカントアメーバなどが侵入するリスクもゼロではありません。
安全な水を使うための3つの方法
必ず以下のいずれかの水を使ってください。
- 煮沸する(一番おすすめ!):水道水を1分以上(理想は数分)沸騰させ、人肌まで冷ました「湯冷まし」を使う。これが一番安くて安全です。
- ろ過する:特定の規格(1ミクロン以下)の高性能フィルターを通した水を使う。
- 精製水を買う:薬局で売っている精製水を使う。安全ですがコストがかかります。
浄水器の水やミネラルウォーターでも、念のため一度沸騰させてから使いましょう。
おすすめの鼻うがい器具は?

鼻うがいの器具はたくさん種類がありますが、初心者でも使いやすいおすすめの商品を紹介します。
初めての人:小林製薬「ハナノア」
シリーズ
ドラッグストアでよく見かける商品です。
ハナノア(シャワータイプ)
- 特徴:鼻から入れて、そのまま鼻から出すタイプ。
- メリット:水流が優しく、口から出す必要がないので、初めての人でも恐怖感が少ないです。
- デメリット:鼻の奥(上咽頭)までしっかり洗いたい場合には、少し物足りないことがあります。
- コスト:専用液を使うため、毎日やると少し高くなります(濃縮タイプで節約は可能)
ハナノア(シャワータイプ) 使い方動画
(動画:YouTube 小林製薬)
ハナノア
- 特徴:鼻から入れて、口から出すタイプ。
- メリット:鼻の奥までスッキリ洗うことができます。
- デメリット:口から出すのではじめは慣れが必要です。
ハナノア 使い方動画
(動画:YouTube 小林製薬)
洗浄力重視:ニールメッド「サイナスリンス」
世界中で愛用されている、アメリカ発のスタンダード商品です。
- 特徴:240mlの大容量ボトルを握って、たっぷりの水で洗うタイプ。
- メリット:「丸洗い」の爽快感が段違いです。副鼻腔の入り口までしっかり洗えます。粉を溶かすだけなので、1回あたりのコストが非常に安いです。
- デメリット:ボトルの見た目が大きく、最初は驚くかもしれません。
使い方動画
(動画:YouTube ニールメッドチャンネル)
慣れてきたら、洗浄剤は買わずに食塩で洗浄液を作ると費用をぐっと抑えられます!
おすすめの決め方
- とにかく怖い!まずは試してみたい人→ハナノア(シャワータイプ)からスタート!
- 「花粉症がひどい」「毎日習慣にしたい」「コスパ重視」の人→最初はハナノアシリーズを使って、慣れてきたらサイナスリンスへ移行する。
その他のおすすめ器具
自分で洗浄液を作る必要がありますが、鼻うがいの費用を大きく抑えることができます。
これで失敗しない!
実践テクニックと注意点

「中耳炎」や「むせ」を防ぐための、正しい手順を解説します。
ステップ1:洗浄液を作る
煮沸して冷ましたお湯(36〜38℃)を用意し、食塩(または生理食塩水の素)を溶かします。溶け残りがないようにしっかり混ぜてください。
筆者の場合、生理食塩水は1%として計算しています。
水(mL)の1/100の量の食塩(g)を入れて作っています。
ステップ2:鼻うがいをする
1.洗面台で前かがみになります(下を向く)。
2.ノズルを鼻に当て、口に軽く開けて「アーー」と声を出しながら水を流し込みます。
(ここが最大のコツです!)
なぜ声をだすの?
「アー」と声を出すと、喉の奥(軟口蓋)が持ち上がり、鼻と口の間が塞がれます。これで水が口や気管に流れ落ちるのを防げます。
3.水が反対側の鼻の穴から流れ出てきます。
ステップ3:終了後の「鼻かみ」は
優しく!
洗浄が終わったら、顔を傾けて鼻の中に残った水を出し切ります。
鼻うがいの後、鼻をかむ時は「優しく」「片鼻ずつ」かんでください。
強くかんだり、両鼻を塞いでかむと、水が耳に回って「中耳炎」になるリスクがあります。
頻度とタイミング、点鼻薬との併用
頻度はどれくらいがいい?
1日1〜2回をオススメします。
可能なら毎日しましょう。
多すぎると鼻粘膜の必要な粘液まで洗い流してしまい、乾燥を招く恐れがあります。
タイミングはいつがいいの?
- 朝: 起床時に行うことで、夜間に蓄積した鼻汁やハウスダストを除去し、日中の鼻通りをよくします。
鼻うがいの後は鼻声になりやすいので注意が必要です。 - 夜: 帰宅後や入浴時に行うことで、日中に吸い込んだ花粉やウイルスを物理的に除去する。
入浴時は湿気で鼻垢が柔らかくなっており、洗浄効率が高くおすすめです。
点鼻薬とはどっちが先?
必ず「鼻うがい → 点鼻薬」の順で行いましょう。
鼻うがいで粘膜をきれいにしてから点鼻薬を使うことで、薬剤の吸収が良くなります。
逆に行うと薬液が洗い流されてしまうので推奨できません。
「面倒くさい」
を乗り越えるコツ

鼻うがいを続けられない一番の理由は「面倒くさい」です。
習慣化するための工夫を紹介します。
お風呂でやってしまおう!
一番のおすすめは「入浴時」に行うことです。
お風呂でするメリット
- 服が濡れる心配がない
- お風呂の湿気で鼻の汚れが落ちやすくなっている
- 鼻から水が垂れてきてもよごれない
- 使った後の容器を洗うのが楽
- 毎日のルーティーンとして組み込みやすい
器具のメンテナンス
使い終わったボトルは、流水で洗い、清潔な場所で乾燥させてください。
サイナスリンスのボトルなら、週に1回、濡れた状態で電子レンジ(600Wで60秒)にかけると、簡単に滅菌(消毒)できます。
※3〜6ヶ月に一度は新品に交換しましょう。
作り置きはNG?
食塩水には塩素が入っていないため、雑菌が繁殖しやすいです。
「その都度作って使い切る」のが原則です。どうしても作り置きする場合は冷蔵庫に入れ、24時間以内に使い切り、使う時は必ず人肌に温め直してください。
【まとめ】
日常に鼻うがいを

鼻うがいは、薬に頼らず、体が本来持っている「汚れを出す力」を取り戻すための最高の方法です。
この3つのポイントを守れば、痛みも危険もありません。
まずは今日のお風呂から、スッキリ爽快な「鼻うがいライフ」を始めてみませんか?
この記事は医学的な情報に基づき作成されていますが、万が一痛みや違和感が続く場合は、耳鼻咽喉科の医師に相談してください。