「大手チェーン薬局と個人・中小薬局ってどんなところが違うの?」
「自分にはどっちが合っているんだろう…?」
「どっちの方が待遇がいいのだろう?」
薬剤師して調剤薬局で働くことを考えたとき、給与や福利厚生、人間関係、やりがい…何を優先すべきか悩みますよね。
それと同じくらい皆様を悩ませるのが大手と個人・中小薬局のどちらで働くかという問題だと思います。
実際、規模の違いが給与や福利厚生、人間関係にどのような影響があるのか詳しく理解している人は少ないと思います。
実は、大手と個人・中小薬局では給与はもちろんのこと、福利厚生や働き方、キャリアパスが大きく異なります。
この違いを知らないまま働き始めてしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する原因になりかねません。
この記事では、大手チェーンと個人・中小薬局のそれぞれで働くメリット・デメリットを、以下の7つの側面から比較・解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたがどちらのタイプの薬局で輝けるのかが明確になり、自信を持って次のステップに進めるはずです。
大手と中小・個人薬局の
メリット・デメリット

具体的な比較に入る前に、まずは大手チェーンと個人・中小薬局の主な違いを一覧表で見てみましょう。
| 比較軸 | 大手チェーン薬局 | 個人・中小薬局 |
| 年収・給与 | 標準的、昇給制度が明確 | 高めの傾向(交渉の余地あり) |
| 福利厚生 | 非常に充実(産休育休、住宅手当等) | 薬局による差が大きい |
| 仕事内容 | ある程度マニュアル化されている | 柔軟性・自由度が高い |
| 研修制度 | 体系的で充実 | OJT中心、自主学習が基本 |
| キャリアパス | 多様(店長、管理薬剤師、エリアマネージャー、本部職) | 管理薬剤師、独立開業 |
| 人間関係 | 異動が多く流動的 | 固定的な傾向(合う合わないが重要) |
| 転勤・異動 | 有り | ほぼ無し |
| 経営安定性 | 高い(M&Aでさらに拡大傾向) | 経営者次第、後継者問題のリスクも |
【徹底比較】
大手と個人・中小薬局
の7つの違い

それでは、それぞれの項目について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
違い①:仕事内容と業務の進め方
大手薬局:標準化されたシステムで効率的に働く
大手チェーン薬局の最大の特徴は、業務が標準化・効率化されている点です。
最新の調剤機器や電子薬歴システムが導入されており、どの店舗でも医療過誤を防ぐ体制が整っています。
メリット
- マニュアルが完備されており、未経験だったり経験が少ない業務でも安心して取り組める
- 調剤過誤のリスクを組織的に低減している
- 効率化で生まれた時間を在庫管理など他の業務に充てられる
- 基本的にはマニュアル化されているが、店舗ごとの独自のやり方やルールが適応される場合もある
営業推進部のような専門の部署がある薬局もあり、業務を効率化するための施策の立案が日々なされています。
個人・中小薬局:現場の裁量で柔軟に対応する
一方、個人・中小薬局は店舗の事情や患者さんの特性に合わせて、柔軟に業務を進められるのが魅力です。
経経営者との距離が近く、現場の意見が反映されやすいため、マニュアルに縛られない柔軟な対応が可能です。
むしろ、業務改善案を提案し、自らがマニュアルやルールを作る側に回ることもできます。
メリット
- 地域のクリニックや患者さんの状況に合わせた、きめ細やかな対応ができる
- 自分のアイデアや工夫を仕事に活かしやすい
- 一人ひとりの患者さんと深く向き合い、信頼関係を築ける
大手ほどマニュアル化はされていませんが、自分で積極的に動いてルールを作る側に回ることができます!
自分の意見が会社のやり方として反映されるとやりがいを感じられますよ!
違い②:年収・給与と福利厚生
大手薬局:基本給と福利厚生を合わせた「トータルの給料」で考えると有利
一般的に、大手チェーンの初任給や基本給は個人薬局より低い場合があります。
しかし、福利厚生を含めた「トータルの給料」で考えると、大手に軍配が上がります。
メリット
- 充実した福利厚生:産休・育休制度、住宅手当、退職金制度などが充実。特に出産や育児などのライフイベントを見据える女性薬剤師にとっては大きな安心材料です。
- 明確な評価制度:昇給や昇格の基準が明確で、キャリアプランを立てやすいです。管理薬剤師やエリアマネージャー、本部職への道も開かれています。
家賃補助などの福利厚生は「転勤ありの勤務コース」のみの場合があるので、事前にチェックする必要があります。
個人・中小薬局:給与は高めだが、福利厚生は要確認
個人・中小薬局は、大手よりも高い給与を提示されることが多いです。
これは、人材を確保するため、また、福利厚生面での不利を給与で補っている側面があります。
注意点
- 個人・中小薬局の福利厚生は企業によって差が激しく、制度はあるものの実際には利用しにくいケースもあります。
- 昇給が経営者の判断に委ねられることが多く、将来的な年収アップが見えにくい場合があります。
福利厚生や昇給率などの外部から見えにくい部分を知るには、後ほど紹介する就職・転職エージェントを活用すると良いでしょう。
違い③:人間関係と職場の雰囲気
大手薬局:異動があり、人間関係はリセットしやすい
大手は従業員数が多く、定期的な異動があるため、人間関係は比較的ドライで流動的です。
メリット
- 万が一、特定のスタッフと人間関係が悪くても異動によって環境を変えることができます。人間関係が原因で退職するリスクを避けやすいのは大きな利点です。
- 人間関係や職場の適正を理由に自分から移動を申し出ることもできます。
環境を変える=退職、ではない点も安心して働ける材料です。
デメリット
- 仲の良い同僚や尊敬できる上司がいても会社から移動の通知が来たら基本的に断ることができません。
移動によって人間関係を1から作る必要があることも考えられます。
個人・中小薬局:アットホームだが、関係がこじれると逃げ場がない
少人数で働く個人・中小薬局は、家族のようなアットホームな雰囲気が魅力です。
人間関係が固定化されるため、一度関係がこじれてしまうと修復が難しく、精神的な負担が大きくなるリスクも抱えています。
違い④:キャリアパスとスキルアップ
大手薬局:多様なキャリアパスと学習制度
大手薬局では、薬剤師としてのスキルを体系的に磨くための充実した学習制度が用意されています。
新人研修は項目ごとにマニュアル化されており、勉強会、e-ラーニングなど、常に最新の知識をアップデートできます。
キャリアパスも多様で、現場の薬剤師から店長、エリアマネージャー、さらには本社の採用・研修・経営企画部門へ進む道もあります。
個人・中小薬局:地域医療の専門家や独立開業への道
個人・中小薬局でのスキルアップは、OJT(現場研修)が中心です。
勉強会への積極的な参加など自主的に学習する姿勢が求められますが、勉強会などの地域のコミュニティに参加することで地域社会との結びつきが強くなり、地域医療に参画する機会が多くなります。
地域医療への参画は今後の薬剤師の大きなテーマです。
地域の集まりを通じて知り合ったケアマネージャーさんに在宅訪問の患者さんを紹介されるケースもあります。
また、経営者との距離が近いため、薬局経営の考え方やノウハウを間近で学べ、将来の独立開業を目指す人にとっては絶好の環境と言えるでしょう。
違い⑤:転勤・異動の有無
大手薬局:転勤・異動はエリアは違えどある
全国に店舗を持つ大手チェーンでは、転勤や移動は高い頻度であります。
様々な地域の医療に触れ、経験を積む機会と捉えることもできますが、ライフプランに大きく影響する要素です。
注意点
- 人によっては数か月ごとに異動になる場合があるので、新しい環境に慣れるための適応能力が必要です。
- 勤務コースによりますが、都道府県をまたぐ転勤があるため同じ場所や環境で長く働きたい人には不向きかもしれません。
大手の場合、転勤ありの勤務コースと転勤なしコースがあり、自分に合った働き方が選べます。
基本的に転勤ありの方が給料は高いです。
個人・中小薬局:地元に根ざして長く働ける
個人・中小薬局は出店している店舗のエリアが限られており転勤がほとんどありません。
「地元で腰を据えて働きたい」「この地域の医療に貢献したい」という思いが強い方に向いています。
地域医療への貢献を考えた場合、個人・中小薬局の方がそういった機会は多いでしょう。
違い⑥:働きやすさと自由度
大手薬局:ルールが明確で休みやすい
大手はコンプライアンス遵守が徹底されており、有給休暇や産休・育休の取得が取りやすいです。
昨今の流れから、申請すれば男性でも1か月近い育休が取れるでしょう。
人員に余裕があるため、急な休みにも対応しやすい体制が整っています。
ただし、業務は本社からの指示に沿って進めるため、個人の裁量は小さい傾向にあります。
大手の場合、本社から「これをやって」「これはこうして」など業務内容が細かく指示されるので、本当にやりたい仕事に時間が取れないこともありえます。
それによって長時間の残業になってしまうことも…
個人・中小薬局:自由度が高いが、休みは調整が必要
個人・中小薬局は現場の自由度が高く、自分のやり方やペースで仕事を進めやすいです。
自由度が高い故、仕事のやり方に戸惑いを感じることも。
自分で決められるか、上から指示されたやり方通りにやるか、どちらが合っているのかは人によりますね。
一方で、スタッフ数が少ないため、休みの調整が難しく、大手に比べて融通がきかない傾向があります。
違い⑦:経営の安定性と将来性
大手薬局:M&Aで成長を続け、安定性は高い
調剤薬局業界は、診療報酬改定の厳格化などを背景に、M&A(合併・買収)による再編が進んでいます。
大手チェーンは豊富な資金力でM&Aを繰り返し、規模を拡大し続けているため、経営基盤は非常に安定しています。
個人・中小薬局:経営者次第、後継者問題も
個人・中小薬局の経営は、経営者の手腕に大きく依存します。
また、経営者の高齢化による後継者不足も深刻な問題となっており、将来的に大手に買収される可能性も視野に入れる必要があります。
個人・中小薬局が大手に買収された場合、給与は大手の水準に準拠していきます。
高年収をもらっていた小規模薬局の管理職の年収が大手に買収後100万円単位で減給されたケースもあります。
大手と個人・中小薬局
に向いている人の特徴

これまでの比較を踏まえて、あなたがどちらのタイプの薬局に向いているか、まとめてみましょう。
大手チェーン薬局が向いている人
- 安定した環境で働きたい
- 産休・育休など福利厚生を重視する
- 体系的にマニュアル化された研修で着実にスキルアップしたい
- マネジメント職など、現場以外のキャリアも興味がある
- 転勤に抵抗がなく、色々な場所で経験を積みたい
個人・中小薬局が向いている人
- 地域医療に貢献し、やりがいを感じたい
- 患者さん一人ひとりと親密な関係を築きたい
- マニュアルに縛られず、自分の裁量で働きたい
- 将来的に独立開業を考えている
- 地元を離れず、転勤なしで長く働きたい
職場選びのコツは
エージェントの活用

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【まとめ】
自分に合う薬局を選んで
後悔のないキャリアを

今回は、大手チェーン薬局と個人・中小薬局の違いを7つの視点から徹底比較しました。
どちらが良い・悪いということではなく、あなたが薬剤師として働く上で何を大切にしたいかによって最適な選択は変わります。
この記事を参考に、ご自身のキャリアの軸を明確にし、後悔のない職場選びをしてください。