「薬剤師って初任給は良いけど、そこから全然給料が上がらない…」
「このまま今の職場で働き続けて、将来大丈夫かな…?」
こういった悩みは多くの薬剤師が抱えていると思います。
皆さんも薬剤師の給料は最初は高いけど、すぐに頭打ちになると聞いたことがあるかと思います。
厚生労働省のデータを見ても、薬剤師の年収は30代前半で約564万円に達した後、50代後半までの約25年間で約150万円しか上がらないという厳しい現実があります。
この記事では、なぜ薬剤師の給料が上がらないのか、その原因を7つの視点から徹底的に解剖します。
そして、この「薬剤師として給料を上げる」ための具体的で実践的な10の戦略をお伝えします。
まずは薬剤師の
給料はについて詳しく
まずは客観的なデータから、薬剤師の給与について見ていきましょう。
年齢と経験で見る給与カーブの「天井」
下の表は、厚生労働省の統計に基づく年齢階層別の平均年収です。
年齢層 | 平均年収 |
20~24歳 | 381.3万円 |
25~29歳 | 464.9万円 |
30~34歳 | 564.1万円 |
35~39歳 | 608.1万円 |
40~44歳 | 630.4万円 |
45~49歳 | 641.2万円 |
50~54歳 | 665.6万円 |
55~59歳 | 717.4万円 |
全年代平均 | 583.4万円 |
このデータが示すのは、20代で急成長した給与が、30代後半から伸び悩むということです。
30代後半から40代後半までの10年間で、わずか33万円しか昇給していません。
注目すべきは50代後半の急上昇ですが、これは管理薬剤師やエリアマネージャーといった管理職が平均値を押し上げているためです。
つまり、役職に就けなければ給料の上昇は見込めない、ということです。
勤務先でこんなに違う!
業種別・年収ランキング
薬剤師の年収は、どこで働くかによって劇的に変わります。
勤務先 | 役職 | 平均年収帯 | 生涯年収(推定) |
製薬会社 | MR, 研究開発, CRAなど | 720万円~ (1000万円超も) | 約2.2億円~ |
ドラッグストア | 一般薬剤師 | 500万円~600万円 | 約2.1億円~ |
管理薬剤師・エリアマネージャー | 550万円~1000万円 | ||
調剤薬局 | 一般薬剤師 | 450万円~550万円 | 約2.0億円~ |
管理薬剤師・エリアマネージャー | 500万円~800万円 | ||
病院 | 一般薬剤師 | 380万円~500万円 | 約1.8億円~ |
主任・薬剤部長 | 600万円~700万円以上 |
- 第1位:製薬会社
- 圧倒的な高給与。
特にMRや研究開発は企業の利益に大きく貢献する役割のため、成果が報酬に直結。年収1000万円も珍しくありません。
- 圧倒的な高給与。
- 第2位:ドラッグストア
- 調剤薬局より高めの給与設定。
管理職への道も開かれており、エリアマネージャーなら年収1000万円も目指せます。
- 調剤薬局より高めの給与設定。
- 第3位:調剤薬局
- 最も一般的な勤務先ですが、給与の停滞が最も顕著な業界です。
- 第4位:病院
- 初任給は最も低い傾向。
安定した昇給はあるものの、金額は限定的です。
- 初任給は最も低い傾向。
業種ごとの給与の差を生む最大の要因は、薬局や病院の利益が国の定める「診療報酬」に依存していること。
これが、薬剤師の給与を頭打ちにする原因となっているのです。
薬剤師の給料が
上がらない7つの理由
理由①:需要と供給の崩壊
「薬剤師が余っている」問題
薬学部の新設ラッシュにより薬剤師の数は急増し、2020年には約32万人に達しました。特に都市部では薬剤師が飽和状態にあり、企業側が高い給与を提示しなくても人材を確保できる「買い手市場」になっています。
理由②:国のさじ加減で決まる
「診療報酬」の壁
薬局の利益の源泉である「調剤報酬」は、国の医療費抑制政策の影響で、2年に1度の改定のたびに引き下げられる傾向にあります。
売上が国にコントロールされてしまうため、最大のコストである人件費を上げたくても上げられない、というジレンマがあるのです。
理由③:昇進ポストがない「フラットすぎる」キャリアパス
一般的な薬局の組織は、数名の一般薬剤師と一人の管理薬剤師だけ。つまり、昇進の機会が極端に少ないのです。
何年働いても役職に就けず、大幅な給与アップが見込めない…これが経験を積んでも給与が頭打ちになる大きな理由です。
理由④:「対物業務」から「対人業務」への転換期
国は今、薬剤師の役割を「対物業務」から「対人業務」へとシフトさせようとしています。
この変化に適応し、在宅医療やかかりつけ業務で薬局の売上に貢献できる薬剤師でなければ、今後評価されにくくなり、給与も停滞するでしょう。
理由⑤:大手チェーンの台頭
とM&Aの加速
大手チェーン薬局のM&Aが進み、業界の寡占化が進んでいます。
大手では給与テーブルがしっかり決まっているため、個人の頑張りが給与に反映されにくく、給与交渉の余地もほとんどない傾向にあります。
理由⑥:「薬剤師免許」が生む慢心
皮肉なことに、「薬剤師免許」を持っていることである種の安心感が生まれてしまい、「安定しているから給料はそんなに上がらなくてもいいか。人間関係とかもっと別のことを重視したい」と薬剤師自身が思ってしまうこと場合もあります。
理由⑦:女性が多い職種ならではの統計データ
薬剤師の約6割は女性です。
出産や育児でキャリアが中断されるケースが多く、パートタイムという選択も多いため、全体の平均年収を引き下げる一因となっています。
給料を上げる
ための戦略10選
今の職場で給料を上げる方法4選
まずは今いる場所で、収入アップにつなげる方法を探りましょう。
戦略①:「かかりつけ薬剤師」で薬局のエースになる
患者から指名される「かかりつけ薬剤師」になることは、薬局の売上に直接貢献します。これは人事評価において大きな強みになります。
戦略②:「在宅医療」のプロフェッショナルになる
需要が爆発的に増えている在宅医療のスキルを習得しましょう。
薬局の新たな収益源を開拓でき、自身の市場価値も飛躍的に高まります。
戦略③:市場価値を高める「認定・専門資格」を取得する
「研修認定薬剤師」は今や必須。
さらに「専門薬剤師」の資格を取得すれば、資格手当やキャリアアップによる大幅な年収増が期待できます。
戦略④:「管理薬剤師・エリアマネージャー」に昇進する
最も直接的に年収を上げる方法です。
ドラッグストアのエリアマネージャーなら年収1000万円、調剤薬局でも年収800万円に達する可能性があります。
環境を変えて
年収UPする戦略的転職4選
今の職場で昇給が見込めないなら、「転職」が最も効果的な手段です。
戦略⑤:年収1000万も夢じゃない!製薬会社・CROへ
年収を劇的に上げたいなら、製薬会社やCROへの転職が最強の選択肢です。
特にCRA(臨床開発モニター)は人気の職種で、未経験からでも挑戦可能です。
戦略⑥:逆転の発想!「薬剤師不足の地方」で高年収を狙う
都市部とは対照的に、地方は深刻な薬剤師不足です。
需要に対し供給が少ないため、地方では驚くほど高い給与が提示されています。
戦略⑦:責任は重いが給与も高い「一人薬剤師」という選択
小規模薬局で全ての責任を負う「一人薬剤師」は、その分給与が高く設定される傾向にあります。
企業によっては年収を50万~120万円上乗せすること場合もあります。
戦略⑧:【最重要】転職エージェントを使い倒す
戦略的な転職を成功させるには、プロの力を借りるのが一番の近道です。
- 一般には出回らない「非公開求人」を紹介してもらえる
- 自分では言いにくい給与交渉を代行してくれる
- 客観的な視点でキャリア相談に乗ってくれる
転職エージェントは、あなたの年収アップを力強くサポートする最強のパートナーです。
完全無料で利用できるので、まずは自分の市場価値を知るためにも登録してみることを強くおすすめします。
目的別!おすすめの薬剤師転職エージェント
エージェント名 | 主な特徴 | こんな人におすすめ |
薬キャリAGENT | 薬剤師登録者数No.1!好条件の独占求人を多数保有。 | 高年収の求人を効率的に探したい、キャリア志向の強い薬剤師。 |
マイナビ薬剤師 | 利用者満足度◎!対面での手厚いサポートと豊富な非公開求人が魅力。 | 初めての転職で不安な方、じっくり相談しながら進めたい薬剤師。 |
ファルマスタッフ | 大手調剤薬局グループが運営。調剤薬局の求人に強く、派遣のサポートも充実。 | 調剤薬局でより良い条件を探している、または高時給の派遣で働きたい薬剤師。 |
レバウェル薬剤師 | 薬局や病院、企業など質の高い非公開求人が多い。 | 好条件の求人を探している人、キャリアアップを目指したい人。 |
アイリード | 高年収や管理薬剤師など、好条件の非公開求人が多い | 今よりも年収を上げたい人、役職に就きたい人。 |
雇用以外の方法2選
会社に所属するだけでなく、自分の力で収入の天井を突破する方法もあります。
戦略⑨:「副業」で収入の柱を増やす
本業を続けながら、派遣薬剤師(時給2,500円以上も!)やメディカルライターで副収入を得るのも賢い選択です。

派遣薬剤師の求人を探すのはファル・メイトがおすすめです。
戦略⑩:究極の選択「独立開業」で青天井の収入を目指す
ハイリスク・ハイリターンですが、成功すれば年収2000万円以上も夢ではありません。
経営者としての覚悟は必要ですが、収入の天井を完全に取り払う究極の選択肢です。
【まとめ】
あなたの給料は
行動次第で上げられる!
薬剤師の給料が上がりにくいのは、決してあなたの能力不足が原因ではありません。
国の政策や業界構造といった、個人の努力ではどうにもならない問題が背景にあります。
専門性を磨き、環境を戦略的に選び、新たなキャリアの選択肢を常に視野に入れる。
このポジティブな姿勢こそが、給料の頭打ちを打破する有効な方法です。
そして、その最初の一歩として最も効果的なのが、転職エージェントに相談してみることです。
費用は一切かからず、何のリスクもありません。自分の市場価値を客観的に知り、どんな未来の可能性があるのかを探ることは、あなたのキャリアにとって最も賢明で力強い行動となるでしょう。
あなたのキャリアと収入の可能性を、あなた自身の手に取り戻しましょう。