薬剤師として働いている中で医療事務との人間関係に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
今回は医療事務との人間関係に悩む理由6つとその解決策をテーマに解説します。
医療事務との人間関係が悪くなる原因
給料の違い
一般的に、薬剤師と比べると医療事務の給与は低い傾向にあります。
そのため、勤続10年以上の医療事務よりも、新卒の薬剤師の方が高い給与を得るという状況も珍しくありません。
医療事務の立場からすれば、自分より高い給与を受け取っている人が常に近くにいるのは、気持ちの良いものではないでしょう。
特に、知識や経験が乏しく、仕事のスキルもまだ未熟な薬剤師が、自分より高い給与をもらって同じ職場にいるとなれば、なおさら複雑な思いを抱くかもしれません。
具体的には、次のような態度や言葉として表れることがあります。
- 高い給料をもらっているのだから、これくらいはやってもらわないと困る
- どうしてこんなミスをするの?しっかりしてよ、私よりお金をもらっているんだから
- 給料と仕事量が釣り合っていないんじゃないの?
- どうしてもっとちゃんとできないの?これじゃあ給料泥棒だよ
さすがに上記のような発言は極端な例ですが、新人時代や失敗したときに、これに近い言葉をかけられた経験がある方も多いのではないでしょうか。
薬剤師の側にとっても、このような態度で接されるのは、決して気分の良いものではありません。
結果、薬剤師も医療事務に対して強い言葉で注意したり、些細なミスを細かく追及するようになり、お互いの関係が悪化します。
お互いの仕事内容を理解していない
薬剤師と医療事務は同じ職場で働いていますが、その仕事内容には大きな違いがあります。
薬剤師の主な業務:調剤、監査、服薬指導、薬歴管理、在庫管理 など
医療事務の主な業務:受付、処方入力、レセプト業務、調剤補助 など
しかし、両者がお互いの仕事を完全に理解しているケースは少ないのではないでしょうか。
さらに仕事内容そのものを知っていても、「その業務にどれほどの時間や労力がかかるのか」までは把握していないことも多いものです。
そのため、職場では次のような不満が生じやすくなります。

- 処方入力が遅いせいで投薬が滞っている。もう少し早くやってもらえないかな。
- レセプト業務にどうしてあんなに時間がかかるんだろう。そんなに大変には見えないけど…。
- 薬歴や疑義照会にどうしてあんなに時間が必要なんだろう。すぐに終わりそうに見えるのに。
- また欠品か…。在庫管理担当は一体何をしているんだろう。

このように、お互いの仕事に対する理解が足りていないため、不満を持ってしまうことは大いにあります。
残業時間の違い
一部の会社や店舗では例外もありますが、一般的に医療事務は薬剤師に比べて残業時間が少ないことが多いです。
これは、医療事務はレセプト業務が終了し、レジ締め(清算)が終われば基本的に残業が不要で帰宅できるのに対し、薬剤師はその日の薬歴や在庫管理、予製作成が完了していなければ、どうしても残業せざるを得ないことが多いためです。

薬剤師は薬歴の管理や在庫確認、予製作成などの業務があり、どうしても残業が発生する場合があります。
さらに、店長や管理薬剤師はシフト作成や上司からのメール対応も必要なため、残業時間が多くなりがちです。
知り合いの店長は、月に平均で30~40時間の残業をしていると話していました…
薬剤師からすると、自分にはまだやらなければならない仕事が多く残っているにも関わらず、医療事務が定時で帰るのを見ると、「ずるい」と感じることもあるでしょう。
立場の違い
薬剤師は業務上、医療事務に指示や確認を行う立場にあることが多いです。
例えば、
- 薬の採用メーカーが変わったため、次回から処方入力を別メーカーで行うよう指示(先発品⇔後発品の変更も含む)
- 特定の加算を算定できる患者について入力し直すよう指示
- 入力ミスの訂正を指示
- 薬情など帳票の記載内容の修正を指示
また、店舗のルールを薬剤師だけで決め、決定後に医療事務に伝えるケースもよくあります。医療事務の立場からすると、話し合いに参加せずルール変更に従うことを求められるため、気分の良いものではありません。。
情報共有不足
後発品のメーカー変更、先発⇔後発の変更、加算ルールなど、店舗運営のルールが変わった際に、事前に医療事務に伝えていないことがあります。
処方箋入力を終えた後に変更が知らされると、医療事務は急な対応を強いられ、焦りや不満が生まれます。
このような状況が繰り返されると、薬剤師への信頼感が低下し、不満が積もってしまいます。
患者が愚痴を医療事務に言う
薬の欠品や薬剤師の態度に対して、患者が帰り際に医療事務に文句を言うことがあります。
原因は薬剤師側にあっても、医療事務が直接責められるため気分の良いものではありません。
対処法
情報共有アプリやノートの活用
口頭での情報共有は、忙しい時間帯に漏れが生じやすいため、ノートやアプリを利用するのがおすすめです。
- アプリ:Trello、Evernote、Asanaなどが便利
- ノート:市販のノートで十分
普段からコミュニケーションをとる
業務が落ち着いている時間に雑談をすることで、業務中のコミュニケーションも円滑になります。
旅行のお土産などで会話のきっかけを作るのも有効です。
移動や転職を検討する
どうしても関係改善が難しい場合は、働く場所を変えることも考えましょう。
- チェーン薬局やドラッグストア、病院では店舗や部署異動を希望可能
- 規模的に難しい場合は転職も選択肢
現在の薬剤師の転職市場は売り手市場のため、自分に合った職場を探すチャンスは多くあります。
この記事が皆様が抱えている悩みの解決の一助になれたら幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!