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【書籍要約】『GIVE&TAKE』① ギバー・テイカー・マッチャーとは

ギバー・テイカー・マッチャーとは?

人間関係や職場での振る舞い方には、大きく3つのタイプがあると言われています。
それが、ギバー(与える人)、テイカー(受け取る人)マッチャー(バランスを取る人)という考え方です。

この概念をわかりやすく体系化したのが、組織心理学者アダム・グラントのベストセラー
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』です。

本記事では、この本の要点を整理し、あなたの仕事や人間関係に活かすヒントをお届けします。

書籍紹介:『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

ギバー(Giver)|見返りを求めず与える人

特徴と行動パターン

  • 見返りを期待せずに、まず人に与える姿勢
  • ギブ&テイクの関係を相手の利益になるように調整
  • 「受け取る以上に与える」ことがモットー

ギバーの考え方と価値観

  • 仕事の目的を「他者のため」「チーム全体のため」と捉える
  • 他者志向性が強く、チームの成功や幸福を重視
  • ギブを犠牲ではなく喜びだと感じる

ギバーの成功と課題

  • 成功から最も遠い位置にいるのはギバー(自己犠牲型)
  • しかし最も成功を収めるのもギバー(他者志向型)
  • 「先に与える」ことで、長期的な信頼や協力を得る
  • チームでの仕事が多くなるほど、価値を発揮できる

成功するギバーの共通点

「ギバー=損する人」と思われがちですが、それは自己犠牲型ギバーに限った話です。
成功するギバーは、「他者志向型」であることが共通しています。

自己犠牲型ギバー

  • 自分を犠牲にしてまで与える
  • 搾取されて終わる可能性あり

他者志向型ギバー

  • 相手に与えるが、自分のことも大事にする
  • チームの成果や相手の成長を重視
  • 意義や楽しさを感じながら与える
  • 他者との信頼と協力で、大きな成果につながる

現代社会でのギバーの立場

  • 仲間は見返りを求めずに与えてくれるギバーを信頼する
  • 顧客は話を聞いてくれて、自分にとって最良の選択をするギバーにサービスを求める傾向
  • 職場では「ギバーだと軟弱に見られる」と感じ、マッチャーとして振る舞う人も多い
  • 外見(ビジネススーツ)や環境によりギバー性が抑制されることもある

テイカー(Taker)|常に得を求める人

特徴と行動パターン

  • 「受け取ること」が最優先
  • 自己中心的で、自分の利益のためにしかギブしない
  • 常に「与える以上に受け取る」ことを目指す
  • 損得のバランスをとるマッチャーがいるので、大きく成功することは少ない。

テイカーの考え方と価値観

  • 相手の利益より、自分の得を優先
  • 世の中を「食うか食われるか」の競争社会と捉えている
  • 成功するには他人より上に立つ必要があると考えている

マッチャー(Matcher)|公平さを重視する人

特徴と行動パターン

  • ギブとテイクの比率を「五分五分」に保とうとする
  • 相手の出方に応じて与えたり返したりする
  • 「これだけしてもらったから、返す」という等価交換の姿勢
  • テイカーが自己中心的な行動をとったら、それに報いる行動をとる

マッチャーの考え方と価値観

  • 公平性を重視し、損得のバランスに敏感
  • 職場では多くの人がこのマッチャーとして行動している
  • ギバーでありたい人も、周囲との関係を考えマッチャーとして振る舞うことが多い

ギバー・テイカー・マッチャー比較表

項目ギバー(Giver)テイカー(Taker)マッチャー(Matcher)
基本姿勢見返りを求めず与える常に自分が得するように動く損得のバランスをとる
行動パターン相手の利益を優先し先に与える相手を利用して多く受け取る相手の出方に応じて与えたり返したり
ギブ&テイクの考え方相手が得するように調整自分が得するように調整お互い五分五分が理想
価値観他者志向、共感と愛着自己中心的、競争社会公平性、帳尻合わせ
仕事観他者の幸せや成果を目的とする自分の利益のために働く利益と義務を同等に考える
成功パターン長期的な信頼と協力で成功(他者志向型)
短期的には損をする場合もある
一時的に成功するが信頼を失いやすい安定した関係を築くが飛び抜けた成功は少ない
チーム内での立場情報を共有し、仲間を助ける利用するだけで協力しない協力はするが見返りも求める
リスク自己犠牲型になると損をしやすい周囲の反感を買いやすい五部五部のバランスを保とうをするため柔軟性に欠けることがある
社会的印象理想的だが誤解されがち(軟弱と見られることも)強引で自己中心的と見られやすい現実的で多くの人がとる立場

薬剤師業務や人間関係への活かし方

ギバー型を意識して働くと

  • 職場内のチームワークが自然と良くなる
  • 患者さんや同僚からの信頼が厚くなる
  • 長期的にキャリアや収入面でも好影響に

 少し気難しい患者さんの対応や不足薬が出た時の対応、薬品数が多い一包化の調剤、出荷調整品目の在庫管理・MRさんや卸さんとの交渉など他の人が進んでやりたがらない仕事を自ら進んですることで職場内での評価は確実に上がります。

仮にうまくいかなくても、その自主性や積極的な姿勢は評価されます。

皆さんも大変な仕事にみずから進んで取り組んでいる同僚に好感を覚えた経験があると思います。

また、自分のもっている知識やテクニック、ノウハウを出し惜しみせず同僚に教えることで、相手の能力向上だけでなく、あなたを頼れる存在だと思い、悩みや課題に感じているところを積極的に伝えてくれるでしょう。

そうすれば同じ職場の同僚が何を考えて仕事をしているか、何につまづいているかがより明確になり、あなたも正確なアドバイスをすることができます。

このようなコミュニケーションが職場の課題を解決し、職場全体の効率や生産性の底上げをします。

それに普段から人に与えている(ギブしている)と、いざ自分が困ったときに周りが助けてくれます。

当然上司はこのような組織を高く評価し、結果的に給与や待遇がよくなり、昇進などのキャリアアップにもつながるでしょう。

ギバーとして行動することは調剤薬局や病院薬剤部などの比較的作業スペースが小さい職場で特に評価されやすいと思います。

自分の行いが誰かに見られていることが多く、善い行いも悪い行いも自然に目に入りますし、話も広まりやすいからです。
他人のためを思った善い行いを積み重ねることで自然と同僚はあなたを評価し、それが働きやすい職場環境や良好な人間関係、情報や知識の共有に良い影響を与えます。

まずは見返りを求めず、「先に自分から出す!」と考えて自分にできる他者貢献をやっていきましょう!

注意点

  • 職場環境や人間関係がテイカー型に偏っていると、ギバーは損をすることも
  • 自己犠牲に走りすぎると疲弊する
  • 与えることに意義や楽しさを感じられるかがカギ

残念ながらテイカーは世の中に一定数います。もしかしたら皆さんの職場にも明らかにテイカーな人がいるかもしれません。

テイカーは一般的に、自分がしてもらうのが当たり前で、してもらっても感謝をすることはほとんどありません。

ギバーやマッチャーと違い、普段どれだけギブされていても、いざというときに失敗してメンツに傷がつくことを嫌がって助けてくれない可能性が高いです。

そのような人の頼み事や業務を引き受けても当たり前と思われるだけで、あなたが疲弊するだけです。
例えば、
・引き受けた業務で長時間の残業をして体調を崩す。
・頼まれてやった仕事にミスがあり、あなただけが怒られる。
・失敗の責任を押し付けられる。 等

私(筆者)も以前、ほかの薬剤師が対応した患者さんの情報提供を代わりを行わされ、「なんでそんな対応をしたの?その対応は正しかったの?」と医師からお𠮟りを受けたことがあります。
その件は結局、私の伝え方が悪かったということで話が終わりました。

ギバーとして振舞うことを意識しつつも、自分ができない・すべきではないと判断した仕事に関しては頼まれても毅然とした態度で「NO」ということが大切です。特にテイカー気質の人からのお願いには。

ギブをするにしても相手のことを考えることはとても大事ですが、同時に自分が「みんなの役に立ててうれしい」「みんながもっと良くなるために頑張ろう」と感じられるかが重要です。


まとめ|ギバーこそが長期的に成功し、幸せを得る

ギバーは短期的には損をしているように見えますが、信頼・評判・協力といった目に見えない資産を積み上げていきます。その結果、最終的にはもっとも大きな成功を手にする可能性があるのです。
テイカーやマッチャーにはない「他者志向性」が、ギバーを最も人間らしく、そして幸福な存在にする鍵となります。

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