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【書籍要約】『GIVE&TAKE』② 情報と知識を得る方法とは!

はじめに:なぜ薬剤師にとって人脈が重要なのか

薬剤師として働く中で、
「もっと円滑に患者さんとコミュニケーションを取りたい」
「職場の人間関係を改善したい」
「もっとキャリアアップをしたい」
と感じたことはありませんか?

実は、これらの悩みを解決する鍵は「ギバー(与える人)」の人脈術にあります。

単なる人付き合いではなく、戦略的な人間関係の作り方を学ぶことで、薬剤師としての価値を大幅に向上させることができるのです。

書籍紹介:『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

そもそもギバーって?テイカー、マッチャーと言われる人との違いは? 薬剤師の仕事にどう関係する?

人間関係における3つのタイプ

世の中には、人間関係における行動パターンで主に3つのタイプに分けられます。

  • ギバー(与える人): 見返りを求めずに、他者に惜しみなく与える人。
  • テイカー(奪う人): 自分の利益を最優先し、他者から奪おうとする人。
  • マッチャー(バランスを取る人): ギブ&テイクのバランスを重視し、公平であることを求める人。

ギバーとは、自分のためではなく他者のために動ける人のことです。

他者に貢献することに喜びを感じ、自分の周りの人がより幸せに・成功に近づけるために行動します。普段から他者貢献をしているため、多くの人から信頼され、結果としてよい人間関係や幸せな人生を歩むことができます。

薬剤師の仕事にギバーの考え方が同様に活かせるか

薬剤師の仕事は、患者さんへの服薬指導や情報提供、医師や看護師などとの連携など、常に人とのコミュニケーションが求められます。地域連携が進んでいる中で、薬剤師はケアマネジャーや訪問介護スタッフなどの医療従事者以外の人たちとも関わっていくことが求められています。
「ギバー」の考え方を日々の業務に取り入れることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 患者さんとの信頼関係構築: 親身になって相談に乗り、情報を提供することで、患者さんからの信頼を深め、その人に応じた細かい提案をするなどより良い医療サービス提供に繋がります。
  • 職場の人間関係の改善: 困っている同僚を助けたり、積極的に知識やノウハウ、情報を共有することで、組織全体の協力体制が強化され、働きやすい環境が生まれます。
  • 仕事の効率化: ギバーとして普段から周りに貢献することで、周囲からの協力を得られ、情報が集まりやすくなることで結果的に自身の業務効率も上がります。
  • キャリアアップ: ギバーとしての普段の行いは同僚を通じて必ず上司に届き、昇進や新たなキャリアチャンスを与えたいと思うでしょう。

なぜ「与える人」が最強なのか? ギバーの人脈術

人脈がもたらす3つのメリット

「人脈」と聞くと、自分の利益のために活用するものと思いがちですが、ギバーにとっての人脈は少し異なります。人脈を広げることで主に以下の3つのメリットがあります。

  1. 様々な情報: 最新の医療情報や業界動向、他の薬局での取り組みなど、多様な知識を得られます。
  2. 多種多様なスキル: 特定の分野に詳しい同僚や経験豊かな先輩から、専門的な技術やノウハウを学ぶ機会が得られます。
  3. 権威: 信頼・尊敬されることで、意見が通りやすくなったり、仕事の自由度が広がったりします。

薬剤師業務での具体例

患者対応
  • 他の薬剤師から聞いた服薬指導のコツ
    • 説明資料やデモ機の使用
    • 年配の人にでも伝わるような声のトーンやスピード
    • 急いでいる人向けの要点をかいつまんだ説明の仕方
  • 在宅やかかりつけ薬剤師の取り方のコツ
    • コンプライアンス状況の確認
    • 一包化した薬を飲めているかいないかの確認
    • ケアマネからの紹介・ケアマネとのつながり方
    • 要支援や要介護認定は受けているかの確認の仕方
    • かかりつけを算定したい人の窓口負担割合を考慮する
  • 患者さんとのコミュニケーション術
    • クレームを極力出さない言い回し
    • 欠品が出た時の相手を怒らせない説明の仕方
    • 継続して来局してくれる関係の作り方
在庫管理・業務効率化
  • 他店舗の効率的な在庫管理システム
    • 点量発注・補充発注の発注点の決め方
    • 薬価改定前の在庫の絞り方
    • 出荷調製品を安定して在庫する方法(安定供給するメーカーへの変更やMRさん・卸さんとの取引のやり方)
  • 調剤業務の時短テクニック
    • 予製作りのルール
    • 薬品の棚の配置
    • 暗黙のルール作り(ここに置いてある薬は監査済み等)
  • 早くて正確な薬歴の書き方
    • 典型文(テンプレ文)の作り方
    • 読みやすい薬歴の書き方ルール
  • 最新のAIなどITツールを活用した業務改善事例
    • 在庫管理の一部をAIに任せるやり方
    • 要点をつかんだ疑義照会や情報提供の文書をAIに作ってもらう方法

これらを人から「受け取る」だけでなく、人に「与える」ことで、さらに強固なネットワークが構築されていきます。

ギバーの評判は広がる!

テイカーが一時的に成功を収めても、その評判はすぐに広がり、周りからの信頼を失います。なぜなら、多くの人がマッチャーであり、「公正さ」を重んじるからです。テイカーの利己的な行動は、最終的にそのネットワークを壊してしまいます。

薬剤師の現場での「テイカー」パターン

  • 同僚や患者さんよりも自分の機嫌や都合を優先する。
  • めんどくさい仕事は同僚に押し付けて、自分は定時に帰る。
  • 知識や情報を独占する。情報を共有したとしても過剰に感謝を求める。

簡単に言うと、自分第一で自分が楽・得をすることしか頭になく。同僚や患者さんことは二の次、三の次の人を言います。もちろん、こんな人の評判は悪い意味で広まります。チェーンの調剤薬局ならエリア内、病院なら薬剤部や場合によっては病棟全体に。
一方で、テイカーと正反対のギバーの評判はポジティブな形で広まります。見返りを求めず人を助ける姿勢は、周囲からの尊敬と信頼を集め、結果的に多くの協力や情報が自然と集まってくるのです。

「弱いつながり」が大きな価値を生む

意外に思うかもしれませんが、同じ職場の人など身近な人(強いつながり)よりも、「ちょっとした知り合い(弱いつながり)」の方が、新たな情報や機会をもたらしてくれることが多いとされています。

強いつながりは情報源が限られているため似たような情報を共有しがちですが、弱いつながりは多岐にわたるネットワークに属しているため、これまで知らなかった新しいアイデアや解決策にアクセスしやすくなるのです。

薬剤師における「弱いつながり」とは

  • 異なる業種で働く薬剤師との交流
    • 病院
    • 調剤薬局
    • ドラッグストア
    • 製薬企業やCRO等の企業
    • 行政
    • 大学等の教育機関・研究機関で働く人との交流
  • 他職種の医療従事者とのつながり作り
    • 医師や看護師
    • 理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション系職種
    • 臨床検査技師や診療放射線技師などの検査系職種
    • ケアマネージャー
    • 訪問介護員
    • ソーシャルワーカー
  • MRや卸との良好な関係構築
    • 出荷調整や経過措置期間などの情報を教えてくれることがあります。
    • 普段から良好な関係を築けていれば出荷調整品目を融通して入荷してくれることも。

「リコネクト」の重要性

過去に接点があった人との「リコネクト(再びつながること)」も、ギバーにとって非常に有効な戦略です。ギバーは人から良い印象をもたれているため、久しぶりの連絡しても快く返信してくれることが多いです。
しばらく連絡を取っていなかった相手でも、その間にそれぞれが新しい経験を積んでいるため、自分とは異なる視点やアイデアを提供してくれます。

久しぶりに連絡を取ることで、より新鮮で価値のある情報が得られることがあります。

薬剤師業務に活かす! 「与える」実践術

情報と安心を与える存在に

  • 患者さんの話を「聴く」: ただ薬を渡すだけでなく、患者さんの悩みや疑問に耳を傾け、親身に寄り添うことで、安心感を与えられます。
  • 正しい情報を提供する: 薬の副作用や飲み方だけでなく、生活習慣のアドバイスや検査項目の意味や検査値の正しい見方など患者さんの健康に役立つ情報を提供しましょう。
    注意点の多い薬剤や使い方に決まりがある薬剤の冊子や指導せんを渡すのも「与える」行動の1つです。
  • 待ち時間の工夫: 待ち時間に患者さんが退屈しないよう、健康情報を掲示したり、健康関連の雑誌を置くのも一つの手です。

協力し合うギバーのチームに

  • 情報共有を惜しまない: 「この薬の在庫が少ないですよ」「新しいジェネリックが出ますね」「この薬は出荷調整中ですね」といった情報を、積極的に同僚に共有しましょう。
  • 困っている同僚を助ける: 仕事が溜まって忙しそうな同僚がいたら、声をかけて手伝えることがないか尋ねてみましょう。自分が困っているときに助けてもらえる関係性が築けます。
  • 業務改善のアイデアを提案・共有: 業務効率化に繋がるアイデアがあれば、積極的に提案し、チーム全体で共有することで、組織全体の生産性向上に貢献できます。

信頼される人になるために

  • 感謝の気持ちを伝える: 助けてもらったら、組織のために動いている人がいたら、どんな小さなことでも「ありがとう」と伝える習慣をつけましょう。
  • ポジティブな声かけ: 職場の雰囲気を明るくするようなポジティブな声かけを心がけましょう。失敗した人がいても、責めるのではなく今後どうしたらいいか・どうしたらよかったかを一緒に考えましょう。
  • 人の良いところを見つける: 同僚の良い点や努力している部分に気づき、言葉にして伝えることで、相手のモチベーションアップにも繋がります。

ネットワーク作り

  • 薬剤師向け勉強会の企画・運営:店舗や部署内など小さい規模でもかまいません。MRさんにお願いして勉強会を開いてもらうのもいいでしょう。
  • 業界情報の定期的な共有:朝礼の時間を設けるなどして情報を共有する時間をつくりましょう。
  • 他の薬剤師同士をつなげる「橋渡し」役:飲み会を主催など、職場以外で集まる機会をつくる。

まとめ:ギバーとして、豊かな薬剤師人生を!

「与えること」は、回り回って自分に返ってきます。ギバーとして行動することは、短期的には自分の負担が増えるように感じるかもしれませんが、長期的にはより大きな成果と、豊かな人間関係、そして充実した薬剤師人生をもたらしてくれるでしょう。

この機会に、「自分に何ができるだろうか?」と問いかけ、今日から「与える人」として行動してみてはいかがでしょうか。
まずは、
・同僚の小さな困りごとを積極的にサポートする
・患者さんに+αの価値を提供することを意識する 
ことから始めてみてはいかがでしょうか?

今回の内容で、何か新たな気づきはありましたでしょうか? 薬剤師の皆さんにとって、この記事が日々の業務や人間関係をより良くするきっかけになれば嬉しいです。

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